円形脱毛症

皮膚科疾患ガイド

円形脱毛症

円形脱毛症は、見た目の範囲だけでなく、進行の速さ、年齢、病期、眉毛やまつ毛の脱毛、生活への影響を含めて治療方針を考える病気です。

監修:栗原佑一(皮膚科専門医)

作成日:2026年05月28日

最終更新日:2026年07月27日

―― 要点 ――

円形脱毛症は、頭髪や眉毛、まつ毛、体毛などに境界が比較的はっきりした脱毛が出る自己免疫性の脱毛症です。小さな脱毛斑が自然に目立たなくなることもありますが、急に広がる、繰り返す、広範囲になる場合もあります。

治療は、脱毛面積、発症からの期間、進行速度、年齢、生活への影響を見ながら選びます。広範囲で難治の円形脱毛症ではJAK阻害薬などが選択肢になることがありますが、対象、年齢、検査、安全性確認が必要です。

頭皮の赤み、痛み、膿、強いフケ、かさぶたがある場合は、感染症や瘢痕性脱毛症など別の病気も考えます。

円形脱毛症とは?

毛包が免疫の攻撃を受けることで、毛が抜ける病気です。ストレスだけで説明されることがありますが、実際には免疫の働きが関係すると考えられています。

「丸く抜けたから必ず円形脱毛症」とは限りません。白癬、抜毛症、男性型脱毛症、女性型脱毛症、休止期脱毛、膠原病、薬剤性脱毛なども鑑別します。

よくある症状

見た目の変化

円形や楕円形の脱毛斑、急に増える抜け毛、眉毛やまつ毛の脱毛、爪の小さなくぼみがみられることがあります。広範囲では全頭型、汎発型になることがあります。

感じ方の変化

自覚症状が少ないこともあります。軽いかゆみや違和感を伴うことがありますが、強い痛み、膿、かさぶたがあれば別の病気も考えます。

出やすい部位

頭髪が多いですが、眉毛、まつ毛、ひげ、体毛にも出ることがあります。

悪化しやすいタイミング

明確なきっかけがないことも多いです。感染、体調不良、出産、精神的負荷などが経過に関わることがありますが、原因を一つに断定しないことが大切です。

このような症状は皮膚科にご相談ください

  • 髪の一部が丸く抜けている
  • 抜け毛が急に増えた
  • 脱毛範囲が広がっている
  • 複数の脱毛斑がある
  • 眉毛、まつ毛、ひげにも脱毛がある
  • 爪に小さなくぼみがある
  • 学校、仕事、外出に影響している

当てはまる項目が複数ある場合や、急に広がっている場合は、皮膚科にご相談ください。

早めの受診をおすすめする症状

  • 数日から数週間で急に脱毛が広がる
  • 眉毛やまつ毛まで抜けている
  • 頭皮に強い赤み、痛み、膿、かさぶたがある
  • 子どもの脱毛で判断に迷う
  • 脱毛に加えて発熱、体重減少、強い倦怠感がある
  • 頭皮がつるっと硬くなり、毛穴が目立たない

似ている病気・見分けるポイント

脱毛は円形脱毛症だけでなく、感染症、ホルモンや体調の変化、髪を引っ張る癖、瘢痕を残す脱毛症でも起こります。脱毛の形、抜け毛の状態、頭皮の赤みやふけ、爪の変化などを合わせて確認します。

男性型脱毛症・女性型脱毛症

似ている点:髪が薄くなる点が似ています

見分けるポイント:前頭部、頭頂部、分け目などの分布と進行の仕方がポイントです

受診の目安:徐々に薄くなる、家族歴がある場合

頭部白癬

似ている点:円形に髪が抜けることがあります

見分けるポイント:ふけ、赤み、かさぶたの有無や真菌検査で見分けます

受診の目安:子ども、かゆみやふけを伴う場合

休止期脱毛

似ている点:急に抜け毛が増えることがあります

見分けるポイント:出産、発熱、体重減少、薬剤、ストレスなどとの前後関係を確認します

受診の目安:全体に抜け毛が増える場合

抜毛症

似ている点:一部の髪が抜ける点が似ています

見分けるポイント:毛の長さが不ぞろい、抜毛の習慣、心理的背景に注目します

受診の目安:同じ部位を触る・抜く癖がある場合

瘢痕性脱毛症

似ている点:脱毛斑として見えることがあります

見分けるポイント:赤み、痛み、毛穴が見えにくい所見などが手がかりです

受診の目安:痛み、赤み、毛穴の消失がある場合

原因と悪化要因

体質・免疫などの内的要因

円形脱毛症には自己免疫の関与が考えられています。アトピー性皮膚炎、甲状腺疾患、自己免疫疾患を合併する方もいます。

生活習慣・環境などの外的要因

ストレスや生活習慣だけで説明できる病気ではありません。頭皮を強くこする、刺激の強い育毛剤を続ける、自己判断で治療を遅らせることは避けます。

診断で大切なポイント

脱毛面積だけでなく、発症からの期間、急性期か慢性期か、年齢、爪や眉毛の変化、心理社会的な負担を確認します。AA-cubeのように年齢、脱毛面積、病期を組み合わせて考える視点が提案されています。

皮膚科で行う検査・診断

多くは診察とダーモスコピーで判断できます。毛の太さ、黒点、感嘆符毛、黄色点、毛穴の状態などを確認します。

赤み、フケ、膿、かさぶたがある場合は真菌検査などを検討します。広範囲、非典型、合併症が疑われる場合は血液検査や皮膚生検を検討することがあります。

皮膚科で行う主な治療

円形脱毛症では、脱毛の範囲、進行の速さ、年齢、爪や体毛の変化を確認し、毛包の周囲で起きている炎症を抑えて発毛しやすい状態を目指します。限局した脱毛と、急速に広がる脱毛では治療の選び方が異なります。

外用薬

ステロイド外用薬などを症状に応じて使います。年齢、部位、範囲に合わせて強さや期間を調整します。

局所注射・内服薬

成人の限局した病変ではステロイド局所注射が選択肢になることがあります。急速に広がる重症例では、ステロイド内服やステロイドパルス療法が検討されることがありますが、適応と副作用を慎重に判断します。

光線療法・局所免疫療法・JAK阻害薬

範囲や経過によって、光線療法、局所免疫療法、JAK阻害薬などが選択肢になります。日本で円形脱毛症に用いられるJAK阻害薬には、バリシチニブ、リトレシチニブなどがあります。いずれも広範囲に及ぶ難治例など適応が限られ、感染症、帯状疱疹、検査値異常などの注意が必要です。 JAK阻害薬について詳しくは、円形脱毛症の全身療法で解説しています。

自宅でできるセルフケア

自宅での対応は、頭皮を傷つけず、紫外線や摩擦から脱毛部を守りながら、範囲の変化を記録することが中心です。

  • 脱毛部位の写真を残す
  • 頭皮を強くこすらない
  • 刺激の強い育毛剤を自己判断で続けない
  • 帽子やウィッグを生活に合わせて使う
  • かぶれやかゆみが出たら相談する

生活習慣を整えることは助けになりますが、円形脱毛症を生活習慣だけで治すと考えないようにしましょう。

やってはいけないこと・注意点

  • ストレスだけが原因と決めつける
  • AGA治療薬を円形脱毛症に自己判断で使う
  • 頭皮に強い刺激を与える
  • 急に広がっているのに様子を見続ける
  • JAK阻害薬を誰でも使える薬と考える

よくある質問

Q1. 円形脱毛症は自然に治りますか?

小さな脱毛斑は自然に目立たなくなることがあります。一方で、広がる、繰り返す、長引く場合もあります。経過を確認して治療を考えます。

Q2. ストレスが原因ですか?

ストレスだけで説明できるとは限りません。免疫の働きが関係すると考えられており、原因を一つに決めつけないことが大切です。

Q3. 子どもでも受診できますか?

相談できます。年齢、脱毛範囲、学校生活への影響を確認しながら治療や経過観察を検討します。

Q4. JAK阻害薬は誰でも使えますか?

誰にでも使える薬ではありません。対象となる症状、年齢、検査、持病、感染症リスクを確認する必要があります。

Q5. ウィッグや帽子を使ってもよいですか?

使って構いません。生活や学校、仕事で困る場面を減らすために役立ちます。頭皮にかぶれが出る場合は相談してください。

皮膚科受診を考えている方へ

抜け毛には円形脱毛症以外の原因もあり、見た目だけでは炎症の強さや進行性を判断しにくいことがあります。診察では、脱毛の型、頭皮の状態、爪や体毛の変化を確認し、必要な検査と治療の選択肢をご説明します。

急に範囲が広がる、眉毛やまつ毛にも脱毛がある、頭皮に赤みや痛みがある場合は、早めにご相談ください。外見や学校・仕事への負担も治療方針を考える大切な情報です。

当院での診療について

湘南皮膚科では、脱毛の範囲や広がり方、頭皮・爪の状態、生活への影響を診て、保険診療を中心に治療を行います。JAK阻害薬、光線療法、SADBE/DPCPを用いる局所免疫療法は、年齢、病期、脱毛範囲、安全性を確認して検討します。JAK阻害薬は院外処方で対応します。

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診療時間・アクセス

まとめ

  • 円形脱毛症は自己免疫が関係する脱毛症です
  • 脱毛面積だけでなく、進行速度、年齢、病期を確認します
  • 頭皮の赤みや膿がある場合は別の病気も考えます
  • JAK阻害薬などは対象が限られ、安全確認が必要です
  • 写真で経過を残すと診察に役立ちます

※この記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療の代わりになるものではありません。

監修者情報


監修:栗原佑一

所属:湘南皮膚科

資格:日本専門医機構認定 皮膚科専門医

作成日:2026年05月28日  最終更新日:2026年07月27日