薬疹

皮膚科疾患ガイド

薬疹

薬疹は、内服薬、注射薬、ときに市販薬やサプリメントによっても起こる発疹です。多くは軽症ですが、まれに命に関わる重症型があり、見極めが重要です。

監修:栗原佑一(皮膚科専門医)

作成日:2026年06月11日

最終更新日:2026年07月27日

―― 要点 ――

薬疹は、薬に対するアレルギーなどの反応で起こる発疹です。新しい薬を始めてから1〜2週間前後で出ることが多いですが、長く飲んでいた薬で出ることも、数週間以上たってから出るタイプもあります。

特に注意が必要なのは、発疹に加えて、高熱、目の充血、口や唇のただれ、皮膚の痛み、水ぶくれがある場合です。スティーヴンス・ジョンソン症候群などの重症薬疹の可能性があるため、通常の診療時間や折り返し連絡を待たず、夜間・休日でも救急外来を受診してください。息苦しさ、意識がもうろうとする、立てないほどぐったりしている場合は119番を利用してください。

重症化を疑う症状がない場合も、疑わしい薬の次回分をどうするかは、できるだけ早く処方医・薬剤師・皮膚科へ確認してください。重症化を疑う症状があるときは、服薬の相談だけで受診を遅らせず、お薬手帳や薬の現物を持って救急外来を受診してください。

薬疹とは?

薬の成分に対して免疫が反応することなどにより、皮膚や粘膜に発疹が出る状態です。抗菌薬、解熱鎮痛薬、抗けいれん薬、痛風の薬、造影剤など、あらゆる薬で起こる可能性があり、市販薬、サプリメント、漢方薬も例外ではありません。

「ずっと飲んでいる薬だから関係ない」とは限りません。数週間から数年使った薬で出ることもあります。

よくある症状

見た目の変化

体に左右対称に広がる赤い斑点やぶつぶつが典型的です。じんましんのような膨らみ、同じ場所に繰り返す円形の赤み(固定薬疹)、水ぶくれ、ただれなど、さまざまな形をとります。

感じ方の変化

かゆみを伴うことが多いですが、重症型ではかゆみより「皮膚がヒリヒリ痛む」ことがあります。皮膚の痛みは、重症化を疑う重要な症状です。

出やすいタイミング

新しい薬の開始後1〜2週間前後が典型的です。2回目以降の内服では数時間〜数日で出ることもあります。薬剤性過敏症症候群と呼ばれるタイプは、開始から2〜6週間後に高熱とともに出ることが知られています。

このような症状は皮膚科にご相談ください

  • 新しい薬やサプリメントを始めてから発疹が出た
  • 体の左右両側に発疹が広がっている
  • 以前も同じ薬で発疹が出たことがある
  • 同じ場所に繰り返し丸い赤みが出る
  • 解熱鎮痛薬や抗菌薬を最近使った

早めの受診をおすすめする症状

次の症状がある場合は、重症薬疹の可能性があります。夜間・休日でも救急外来を受診してください。呼吸が苦しい、意識がもうろうとする、急に力が入らない場合は119番を利用してください。

  • 38度以上の発熱を伴う
  • 目が充血する、目やにが増える
  • 唇や口の中、陰部がただれる
  • 皮膚に触れると痛い、こすると皮膚がむける
  • 水ぶくれやびらんが広がる
  • 顔がはれぼったく、全身がだるい
  • のどの痛みで食事がとれない

似ている病気・見分けるポイント

ウイルス感染症による発疹

似ている点:全身の赤い発疹、発熱が似ます

見分けるポイント:薬の開始時期、かぜ症状、周囲の流行が手がかりです

受診の目安:発熱と発疹がそろっている場合

蕁麻疹

似ている点:かゆい発疹が広がる点が似ます

見分けるポイント:個々の発疹が数時間で消えるかどうかで見分けます

受診の目安:息苦しさを伴う場合は救急受診

湿疹・接触皮膚炎

似ている点:赤みやかゆみが似ます

見分けるポイント:分布の左右対称性、薬の開始との前後関係を確認します

受診の目安:全身に広がる場合

とびひ・皮膚感染症

似ている点:水ぶくれやびらんが似ます

見分けるポイント:発熱、粘膜症状の有無と、細菌検査の結果で判断します

受診の目安:急に広がる場合

原因と起こり方

原因になりやすい薬

抗菌薬、解熱鎮痛薬(NSAIDs)、抗けいれん薬、痛風治療薬、サルファ剤、造影剤などが知られていますが、どの薬でも起こる可能性があります。

アレルギー以外の仕組み

薬の量や体質(腎機能、肝機能、ウイルス感染の合併など)が関係するタイプもあります。同じ薬でも、体調によって出方が変わることがあります。

診断で大切なポイント

「いつから、何を、どのくらい使ったか」が最も重要な情報です。処方薬だけでなく、市販薬、サプリメント、漢方薬、点眼・外用薬も含めて確認します。

皮膚科で行う検査・診断

診断では、発疹の性状と薬剤使用歴を照らし合わせることが中心です。重症度をみるために血液検査(肝機能、腎機能、好酸球など)を行うこともあります。

原因薬の特定には、回復後にパッチテストや血液検査(リンパ球刺激試験)を行うことがありますが、結果が陰性でも原因を否定できないなど限界があります。内服チャレンジテストは原則として専門施設で慎重に行うものです。

皮膚科で行う主な治療

薬疹では、原因として疑う薬と重症度を早く整理し、必要な薬を安全に中止・変更することが治療の中心です。皮膚症状だけでなく、発熱、粘膜症状、肝臓や腎臓などへの影響を確認し、重症型が疑われる場合は入院できる医療機関へつなぎます。

被疑薬の中止

原因と疑われる薬の中止が治療の基本です。重症化を疑う症状がない場合は、持病の治療に必要な薬を自己判断で一律に中止せず、次回分を服用する前に処方医へ連絡し、中止・変更を判断します。重症化を疑う症状がある場合は、その連絡を待って受診を遅らせないでください。

薬物療法

かゆみにはステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬を使います。範囲が広い場合や臓器障害を伴う場合は、ステロイドの全身投与を検討します。

重症型への対応

スティーヴンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症、薬剤性過敏症症候群などの重症薬疹は、入院での全身管理が必要です。疑われる場合は速やかに連携医療機関へ紹介します。

自宅でできるセルフケア・再発予防

自宅では、原因候補を後から確認できるように情報を残し、自己判断で薬を再開しないことが重要です。

  • お薬手帳を一冊にまとめ、受診時に必ず持参する
  • 原因と判明した薬の名前を記録し、医療機関・薬局で毎回伝える
  • 市販薬を使うときも、過去の薬疹歴を薬剤師に伝える
  • 発疹が出たときの写真を残しておく
  • 「薬剤アレルギーカード」などを携帯する

やってはいけないこと・注意点

  • 発熱や粘膜症状があるのに様子を見る
  • 重症化を疑う症状があるのに、通常の診療時間や処方医からの折り返しを待つ
  • 重症化を疑う症状がない状態で、持病の薬を一律に中止する
  • 原因が分からないまま同じ薬を再び使う
  • 過去の薬疹歴を申告せずに処方を受ける

よくある質問

Q1. 薬疹はどのくらいで治りますか?

軽症であれば、原因薬の中止後1〜2週間程度で改善に向かうことが多いです。色素沈着がしばらく残ることがあります。重症型は回復に時間がかかります。

Q2. ずっと飲んでいる薬でも薬疹は出ますか?

出ることがあります。長期間使用していた薬が原因になることもあるため、「昔から飲んでいるから大丈夫」と決めつけないことが大切です。

Q3. 原因の薬は必ず特定できますか?

複数の薬を併用している場合など、特定が難しいこともあります。発疹の出た時期と各薬剤の開始時期を整理し、検査も参考にしながら推定します。

Q4. 同じ薬をもう一度使うとどうなりますか?

再投与でより重い症状が出ることがあり、原則として避けます。原因薬の名前は必ず記録し、医療機関で伝えてください。

Q5. 子どもの予防接種や薬も心配です。

小児でも薬疹は起こります。発疹が出た時期と薬・ワクチンの記録を持って、小児科や皮膚科で相談してください。

皮膚科受診を考えている方へ

薬を始めてから発疹が出ても、すべてが薬疹とは限らず、原因薬を一つに絞れないこともあります。診察では、服用時期、発疹の型、感染症との違いを確認し、原因として考えられる薬と今後注意する薬を検討します。お薬手帳、処方内容、発疹の写真があると判断に役立ちます。

発熱、目や口のただれ、皮膚の痛み、水ぶくれ、急な全身への広がりがある場合は、夜間・休日でも救急外来を受診してください。

当院での診療について

湘南皮膚科では、発疹の性状と薬剤使用歴を照らし合わせ、重症化を疑う症状がないかを確認します。必要に応じて採血を行い、回復後の原因検索では適応を見極めたうえでパッチテストを検討することもあります。

重症薬疹が疑われる場合は、速やかに平塚市民病院や大学病院などの連携医療機関へ紹介します。処方医・薬局との情報共有も含めて、再発予防までサポートします。

薬を始めてから発疹が出た場合は、薬の名前と開始日が分かるお薬手帳や薬の現物を持って受診してください。

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診療時間・アクセス

まとめ

  • 薬疹はあらゆる薬・サプリメントで起こる可能性があります
  • 発熱、目の充血、口や陰部のただれ、皮膚の痛みは重症化を疑う症状です
  • 重症化を疑う症状があるときは通常の連絡を待たず救急受診し、それ以外では次回服用前に処方医へ確認します
  • お薬手帳と発疹の写真が診断の大きな手がかりになります
  • 原因薬の記録と申告が再発予防の基本です

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※この記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療の代わりになるものではありません。

監修者情報


監修:栗原佑一

所属:湘南皮膚科

資格:日本専門医機構認定 皮膚科専門医

作成日:2026年06月11日  最終更新日:2026年07月27日