陥入爪(巻き爪・爪が食い込む)

皮膚科疾患ガイド

陥入爪(巻き爪・爪が食い込む)

陥入爪は、爪の端が皮膚に食い込み、痛み、赤み、腫れ、膿、肉芽を起こす状態です。巻き爪と一緒に語られることが多いですが、厳密には同じ病気ではありません。

監修:栗原佑一(皮膚科専門医)

作成日:2026年05月28日

最終更新日:2026年07月27日

―― 要点 ――

陥入爪は、爪の端が側爪郭という爪の横の皮膚に刺さり、炎症を起こす病気です。足の親指に多く、深爪、靴の圧迫、スポーツ、爪の切り方、爪の形などが関係します。

軽い段階では、爪の切り方、テーピング、コットンパッキング、靴の調整などで落ち着くことがあります。赤く腫れて痛い、膿が出る、肉芽がある、何度も繰り返す場合は、処置や手術を検討することがあります。

自分で爪の端を深く切り込むと、一時的に楽になっても再発しやすくなります。痛みや腫れが続くときは、無理に切らず皮膚科で確認してください。

陥入爪とは?

陥入爪は、爪甲の端が周囲の皮膚に食い込み、炎症を起こす状態です。医学的には onychocryptosis と呼ばれます。

爪の端が皮膚に当たり続けると、体はそれを異物のように反応し、赤み、腫れ、痛みが出ます。炎症が続くと、じゅくじゅくした肉芽ができたり、細菌感染を伴って膿が出たりします。

巻き爪との違い

巻き爪は、爪が横方向に強く曲がっている状態です。痛みがない巻き爪もあります。陥入爪は、爪の端が皮膚に食い込んで炎症を起こしている状態です。

巻き爪

何が起きているか:爪甲が内側に巻いている

症状の特徴:痛みがないこともあります

陥入爪

何が起きているか:爪の端が皮膚に食い込んでいる

症状の特徴:赤み、腫れ、痛み、膿、肉芽が出やすい

巻き爪+陥入爪

何が起きているか:巻いた爪が皮膚を圧迫し、食い込む

症状の特徴:歩くと痛い、靴が当たると痛い

「巻き爪だから必ず手術」「陥入爪だから必ず爪を全部取る」というわけではありません。爪の形、食い込み方、炎症の強さ、再発の有無を見て治療を考えます。

このような症状は皮膚科にご相談ください

  • 足の親指の爪の端が痛い
  • 爪の横が赤く腫れている
  • 靴が当たると痛い
  • 歩くと爪の横が痛む
  • 爪の横から膿が出る
  • 赤く盛り上がった肉芽がある
  • 爪の端を切っても繰り返す
  • 爪が皮膚に埋もれているように見える
  • 糖尿病や血流障害があり、足の爪に傷や感染がある

受診の目安

次のような場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 赤み、腫れ、痛みが強い
  • 膿が出る、においがある
  • 肉芽が大きくなっている
  • 痛みで歩きにくい
  • 何度も同じ場所で繰り返す
  • 糖尿病、血流障害、透析中、免疫を抑える治療中である
  • 市販薬や自己処置で悪化している
  • 爪の下や周囲に、治りにくいできものや出血がある

発熱、足全体に広がる赤み、強い腫れ、糖尿病がある方の足の感染が疑われる場合は、早めに医療機関へ相談してください。

原因と悪化しやすい要因

深爪・爪の切り方

爪の角を深く切り込むと、爪が伸びる途中で皮膚に刺さりやすくなります。痛い部分だけを自分で何度も切ると、爪棘という尖った爪のかけらが残り、炎症が続くことがあります。

靴・スポーツ・外力

つま先が狭い靴、サイズの合わない靴、スポーツでの踏み込み、長時間の歩行や立ち仕事は、爪の横に圧力をかけます。サッカー、ランニング、バレエなど、足先に負担がかかる運動でも起こりやすくなります。

爪の形・爪の病気

巻き爪、爪甲肥厚、爪水虫、外傷後の爪変形などがあると、爪が皮膚に当たりやすくなります。爪の形だけでなく、足の皮膚や爪水虫の有無も確認します。

体質・全身状態

足のむくみ、発汗、肥満、妊娠、糖尿病、血流障害などが関係することがあります。糖尿病や血流障害がある方は、軽い爪の傷でも感染が悪化することがあるため注意が必要です。

似ている病気・見分けるポイント

爪の横が痛い、赤い、腫れている症状は、陥入爪だけでなく、爪囲炎や腫瘍などでも起こります。爪の周りが化膿している状態は、一般に「ひょう疽」と呼ばれることがあります。

急性爪囲炎(ひょう疽)

似ている点:爪の周りが赤く腫れて痛い

見分けるポイント:爪の食い込み、膿のたまり方、外傷やささくれの有無がポイントです

受診の目安:膿、強い痛みがある場合

ヘルペス性ひょう疽

似ている点:指先の強い痛み、小さな水ぶくれ

見分けるポイント:細菌感染と異なり、切開が適さないことがあります

受診の目安:水ぶくれや強い痛みがある場合

巻き爪

似ている点:爪が曲がり、靴で痛む

見分けるポイント:爪が巻いているだけか、皮膚に刺さって炎症があるかを見ます

受診の目安:痛みや炎症がある場合

爪水虫・爪甲肥厚

似ている点:爪が厚くなり、皮膚に当たる

見分けるポイント:真菌検査、爪の厚み、足白癬の有無で見分けます

受診の目安:爪が濁る、厚い場合

化膿性肉芽腫

似ている点:赤い肉芽、出血しやすい

見分けるポイント:陥入爪、外傷、薬剤、腫瘍との関係を確認します

受診の目安:出血や急な増大がある場合

爪周囲のウイルス性いぼ

似ている点:爪の周りのできもの、痛み

見分けるポイント:表面のざらつき、爪変形、治療経過を手がかりにします

受診の目安:治りにくい場合

爪部腫瘍

似ている点:爪の破壊、出血、しこり

見分けるポイント:ダーモスコピーや必要に応じた病理検査で判断します

受診の目安:治らない傷、出血、爪の破壊がある場合

「巻き爪だと思っていたら、別の爪の病気だった」ということもあります。特に、1本だけで出血やできものが続く場合は、自己判断で切り続けないことが大切です。

診察のときにお聞きしたいこと

  • いつから痛いか
  • どの爪の、どちら側が痛いか
  • 赤み、腫れ、膿、肉芽、出血の有無
  • 爪をどのように切っているか
  • 靴、スポーツ、仕事での足先への負担
  • 巻き爪、爪水虫、爪の厚みの有無
  • 糖尿病、血流障害、免疫を抑える治療の有無
  • これまでの処置歴、再発の有無

必要に応じて、足の皮膚の水虫、爪水虫、周囲の感染、爪の腫瘍との区別も確認します。

検査について

陥入爪は、診察で食い込み方や炎症の程度を確認して判断することが多い病気です。

爪が白く濁る、厚い、もろい場合は、爪水虫が関係していないか顕微鏡検査などで確認することがあります。治りにくい肉芽、出血、爪の破壊、できものがある場合は、ダーモスコピー、皮膚生検、病理検査を検討します。

爪の下に硬い隆起がある、外傷や骨の変形が疑われる場合は、X線などの画像検査が必要になることがあります。

治療について

陥入爪の治療では、食い込みによる圧迫を減らし、痛みや炎症を落ち着かせ、再発しにくい爪の伸ばし方につなげることが中心です。炎症の強さ、爪の形、再発の有無、基礎疾患によって、保存的治療と処置・手術を使い分けます。

保存的治療

軽症から中等症では、爪の切り方の見直し、靴の調整、テーピング、コットンパッキング、ガター法、外用薬などを検討します。食い込みを減らし、皮膚への刺激を少なくすることが目的です。

痛みが強いときに無理に自分で爪の端を切ると、爪棘が残って炎症が長引くことがあります。

感染や炎症への対応

爪の周囲が赤く腫れて膿がたまる状態は、爪囲炎、または一般に「ひょう疽」と呼ばれることがあります。膿がたまっている場合は、排膿などの処置が必要になることがあります。赤みが広がる蜂窩織炎がある場合は、抗菌薬を検討します。

陥入爪では、爪が皮膚に食い込む刺激そのものが炎症の原因になっていることがあります。抗菌薬だけで根本的に解決しない場合もあるため、食い込みを解除する治療を一緒に考えます。

一方で、ヘルペス性ひょう疽のように、切開が適さない感染症もあります。強い痛みや水ぶくれがある場合は、自己判断で刺したり切ったりせず、診察で確認してください。

処置・手術

痛みが強い、肉芽がある、何度も繰り返す、保存的治療で落ち着かない場合は、局所麻酔を使った処置や手術を検討することがあります。

一般的には、食い込んでいる爪の一部を取り除く方法、爪の端が再び生えにくいように爪母の一部を処理する方法などがあります。フェノール法、爪甲側縁切除、爪母処置などの選択肢がありますが、爪の幅が狭くなる、再発する、傷の治りに時間がかかる、感染、出血、痛み、爪の変形などのリスクがあります。

どの方法がよいかは、爪の形、炎症の程度、生活背景、基礎疾患によって異なります。

ご自宅で気をつけること

自宅では、爪の角を掘り込まず、靴の圧迫と患部への刺激を減らします。痛みを一時的に軽くするための深爪が、爪棘を残して再発の原因になることがあります。

  • 爪の角を深く切り込まない
  • 爪先は短くしすぎず、皮膚から少し出る長さを目安にする
  • 痛い部分を針や爪切りで掘らない
  • つま先に余裕のある靴を選ぶ
  • 足を洗った後は指の間まで乾かす
  • 膿や肉芽があるときは自己処置を続けない
  • 糖尿病がある方は足の傷や爪の変化を早めに相談する

爪の切り方は、爪や足趾の形によって調整が必要です。痛みがある場合は、診察時に実際の爪の状態を見ながら相談してください。

よくある質問

Q1. 巻き爪と陥入爪は同じですか?

同じではありません。巻き爪は爪が巻いている状態、陥入爪は爪が皮膚に食い込んで炎症を起こしている状態です。両方が重なることもあります。

Q2. 自分で爪の端を切れば治りますか?

一時的に楽になることはありますが、深く切ると再発しやすくなります。爪棘が残ると炎症が続くこともあります。

Q3. 膿が出ています。抗菌薬だけで治りますか?

感染があれば抗菌薬を使うことがあります。ただし、爪が食い込んでいる刺激が残っていると、抗菌薬だけでは繰り返すことがあります。

Q4. 手術は必ず必要ですか?

必ずではありません。軽症では保存的治療で落ち着くことがあります。痛みが強い、肉芽がある、再発を繰り返す場合は処置や手術を検討します。

Q5. 処置後、すぐ歩けますか?

処置の内容や炎症の強さによります。歩行は可能なこともありますが、痛み、出血、浸出液、靴の圧迫への注意が必要です。運動や入浴の再開時期は処置内容に応じて確認します。

Q6. 子どもでも陥入爪になりますか?

なります。深爪、靴、スポーツ、爪の形などが関係することがあります。痛みがあり歩き方が変わる、赤く腫れる、膿が出る場合は相談してください。

皮膚科受診を考えている方へ

巻き爪と陥入爪は重なることがありますが、爪の形だけでなく、皮膚への食い込み、炎症、感染の有無によって治療が変わります。診察では、爪を残しながら痛みを減らせる方法があるか、処置や手術が必要かを確認し、状態に合う治療を考えます。

歩くと痛い、膿や肉芽がある、同じ場所で繰り返す、糖尿病や血流障害がある場合は、自己処置を続けずご相談ください。

当院での診療について

湘南皮膚科では、爪の食い込み方や炎症の程度、爪の切り方、靴やスポーツでの負担、爪水虫・爪の変形の有無を診ながら、症状に応じた治療を提案します。

局所麻酔で可能な処置は、爪の状態や炎症、基礎疾患を診たうえで適否を判断し、方法と術後の通院目安をお伝えします。糖尿病、血流障害、強い感染、入院管理が必要な場合などは、連携医療機関へ紹介します。

爪が食い込んで歩きにくい、膿や肉芽がある場合は、深く切り込む自己処置を続けずにご相談ください。

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監修者情報


文責:皮膚科専門医 栗原佑一

所属:湘南皮膚科

資格:日本専門医機構認定 皮膚科専門医

作成日:2026年05月28日  最終更新日:2026年07月27日