乾癬の全身療法(生物学的製剤・飲み薬)

専門治療ガイド

乾癬の全身療法(生物学的製剤・飲み薬)

この記事の薬剤情報は2026年7月26日時点のものです。対象や条件は変わることがあるため、最新の情報は診察時にご確認ください。

監修:栗原佑一(皮膚科専門医)

作成日:2026年06月11日

最終更新日:2026年07月26日

―― 要点 ――

乾癬の治療は外用薬が基本ですが、範囲が広い、外用で抑えられない、爪や関節の症状がある、生活への影響が大きい場合は、紫外線療法や全身療法を検討します。

飲み薬には、アプレミラスト(PDE4阻害薬)、デュークラバシチニブ(TYK2阻害薬)、シクロスポリン、エトレチナートなどがあります。生物学的製剤は、TNF-α、IL-17、IL-23などを標的とする注射薬で、2026年7月26日時点で10剤を超える選択肢があります。

生物学的製剤による治療は、日本皮膚科学会の承認または所定の届出要件を満たす施設で行う仕組みになっています。関節の痛みやこわばりがある場合は、乾癬性関節炎として治療の選び方が変わるため、必ずお伝えください。

全身療法を検討するとき

  • 外用薬を続けても広い範囲の皮疹が抑えられない
  • 頭皮、爪、手のひら・足の裏など、外用で改善しにくい部位の症状が続く
  • 関節の痛み、腫れ、朝のこわばりがある
  • 皮疹のために服装、入浴施設、対人関係などで困っている
  • 紅皮症や膿疱を伴う重い病型である

飲み薬(経口薬)の選択肢(2026年7月26日時点)

アプレミラスト(オテズラ®)

仕組み:PDE4阻害

特徴:定期採血の負担が比較的少ない。下痢・吐き気・頭痛が出ることがある

デュークラバシチニブ(ソーティクツ®)

仕組み:TYK2阻害

特徴:1日1回の内服。炎症の信号を選択的に抑える

シクロスポリン

仕組み:免疫抑制

特徴:効果は比較的速いが、血圧・腎機能の確認が必要。長期使用は慎重に

エトレチナート(チガソン®)

仕組み:ビタミンA誘導体

特徴:角化を整える。妊娠に関する厳格な注意が必要(男女とも)

メトトレキサート

仕組み:免疫調整

特徴:関節症状を伴う場合などに使われることがある。定期的な検査が必要

生物学的製剤の選択肢(2026年7月26日時点)

生物学的製剤は、乾癬の炎症に関わる物質を狙って抑える注射薬(一部は点滴)です。標的によって大きく3つのグループに分かれます。

TNF-α

主な薬剤:インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル

特徴:使用経験が長い。関節症状にも実績がある

IL-17

主な薬剤:セクキヌマブ、イキセキズマブ、ブロダルマブ、ビメキズマブ

特徴:皮疹への効果発現が速い傾向。カンジダ感染などに注意

IL-12/23・IL-23

主な薬剤:ウステキヌマブ、グセルクマブ、リサンキズマブ、チルドラキズマブ

特徴:投与間隔が長い薬剤が多く、通院負担が比較的少ない

このほか、膿疱性乾癬(汎発型)の急性増悪に対するスペソリマブなど、病型に応じた薬剤があります。薬剤ごとに、対象(尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症)、投与間隔、自己注射の可否が異なります。

乾癬分子標的薬の施設要件について

乾癬の生物学的製剤による治療は、日本皮膚科学会の承認を受けた医療機関、または所定の届出要件を満たす医療機関で行う仕組みになっています。導入時の評価や安全管理の体制を確保するためのもので、治療を希望される場合は、施設要件を満たす医療機関での診療が必要です。

治療の選び方

  • 皮疹の範囲・部位(頭皮、爪、手足など)
  • 関節症状の有無(乾癬性関節炎では関節への効果が確立した薬剤を優先します)
  • 病型(尋常性乾癬、膿疱性乾癬、紅皮症など)
  • 通院のしやすさと投与間隔、自己注射の希望
  • 感染症や持病、妊娠の予定
  • 費用

これらを総合して、外用薬・紫外線療法・飲み薬・生物学的製剤を段階的、または組み合わせて使います。

治療前・治療中に必要な検査

  • 治療前:血液検査、結核・B型肝炎などの感染症の確認、胸部画像検査
  • 治療中:定期的な血液検査と症状のチェック
  • 薬剤によって:血圧・腎機能(シクロスポリン)、脂質や肝機能、妊娠に関する管理(エトレチナート)

費用について

生物学的製剤や一部の飲み薬は薬剤費が高額で、保険診療でも自己負担が大きくなります。高額療養費制度を利用すると、所得に応じて月々の自己負担に上限が設けられます。投与間隔の長い薬剤では、支払いのタイミングも含めて計画を立てられます。診察時にご相談ください。

よくある質問

Q1. 生物学的製剤はどこでも受けられますか?

生物学的製剤の導入は、日本皮膚科学会の承認または所定の届出要件を満たす施設で行います。施設要件を満たさない医療機関で診療を受けている場合は、導入時に要件を満たす施設へご紹介し、その後の連携診療を考えていきます。

Q2. 一度始めたらやめられませんか?

症状が十分に落ち着いた後の減量や間隔の調整は、薬剤や経過によって異なります。自己判断での中断は再燃につながるため、必ず相談してください。

Q3. 関節の痛みがあるときはどうなりますか?

乾癬性関節炎の可能性があり、関節の評価と、関節への効果が確立した薬剤の選択が必要になります。必要に応じてリウマチ科などとも連携します。

Q4. 飲み薬と注射はどちらが先ですか?

決まった順番があるわけではありません。重症度、病型、関節症状、安全性、費用、通院のしやすさを踏まえて一緒に考えます。

Q5. 副作用が心配です。

薬剤ごとに注意点(感染症、検査値の変化、消化器症状など)が異なります。治療前の確認と定期的な検査を行い、副作用や検査値の変化をチェックしながら治療を進めていきます。

当院での診療について

湘南皮膚科では、皮疹の範囲、部位、爪・関節症状、生活への影響を診たうえで、外用薬、全身ナローバンドUVB・エキシマライトによる紫外線療法、飲み薬を組み合わせて治療します。

生物学的製剤が適する場合は、学会の承認・届出要件を満たす施設での導入と当院での連携診療を検討します。入院や専門的な評価が必要なときは、連携医療機関と協力して進めます。

関節の痛みや腫れがある方は、皮膚症状とあわせてお伝えください。

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診療時間・アクセス

まとめ

  • 外用薬で抑えられない乾癬には、飲み薬・生物学的製剤という選択肢があります
  • 生物学的製剤はTNF-α、IL-17、IL-23などを標的とし、10剤を超える選択肢があります
  • 治療は日本皮膚科学会の承認または所定の届出要件を満たす施設で行う仕組みです
  • 関節症状の有無で治療の選び方が変わるため、必ずお伝えください
  • 高額療養費制度などで費用負担を抑えられる場合があります

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※この記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療の代わりになるものではありません。

監修者情報


監修:栗原佑一

所属:湘南皮膚科

資格:日本専門医機構認定 皮膚科専門医

作成日:2026年06月11日  最終更新日:2026年07月26日